しろい花

玄関で待っている
二度と帰らぬ人が
まちがって帰ってくるのを待っている
しろい花はしろいから好きだった

雨が止んだまま
傍らでは猫が泣いている
わたしは泣かずに
落とし物をあつめている
水を飲みこむと
思い出す人がいる

こんな日に玄関が開くと
きっと、まぶしい
そう思えるから待っている
待っているわたしは
しろい花を飾る

書:武田地球

春秋蜜柑

発行日:2021年5月8日
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