白馬の抜け殻
4丁目の公園にあるのは
白馬の抜け殻
ひとりで宙をみている
街の人たちは
こころなしか疲れているのかもしれない
どこへも行かれない夜があったり
広くて仕方のない夜があったりする
街にはいつも季節が来る
去年とは
ぜんぶがすこしずつ違う6月が
あの白馬の抜け殻のところにも来る
かといって
なにかが起こるわけでもない
けしてあきらめるわけでもない
ただ続く
白馬の抜け殻には
静かな目がふたつある
書:武田地球