コトノ次第、4時間30分
雨上がりの空の下
ひとりの女が立ち止まっていた
今日一日にやってくるであろう物事が
一気に押し寄せてきたのだ
息が苦しかったら
スイー、
と浮かび上がればよい
などとは誰が落とした言葉だったのか
息が苦しいのは髪を摑まれて水面に
頭を押さえつけられているからではない
息が苦しい理由なんて人それぞれだ
勝手なことを言わないでいただきたい
女は寄って立つ場所が無かった
初めから無かったという
グニャリとヒザを落とした途端
気がつくと
ベッドに蝉のように寝就いて
何をするでもなく
ベランダに転がった蝉の死骸を眺めていた
やがて女は眠ってしまった
もう逃げ隠れは出来ない
と思うこと数回
水色の中
電線が揺れた
どんな視線を投げつけられようと
蛙の面にシャンパンさ
水たまりに映った
青い空の上を私は飛んだ
昼12時45分、出社
書:坂本パルコ