夏の所感

朝にぬかから胡瓜を出して切る。
冷えた長岡茄子にからし醤油をつける。
これが食卓に並ぶようになると夏だなあ、と思う
あたりまだ夏ではないんだなあ、と思う。

毎日暑くて
暑いとなんというかカラダが活性化されて
何をしていても健やかだなあ、
と思うそのことが好きだ。
(それに頷く私は
汗を必死にかいて体温調節をしているカラダを
活性化している
などと括ってしまうし
健やか って何か入学式っぽいわよね?
なんてことを思ってしまう。)

暑くて ヤーんなっちゃう
と繰り返し言ったりするのも好きだし
食欲がないと言っている人の傍で
アタシャへいちゃら
と言いながらものを平らげるのも好きだし
汗まみれになって目が覚める
あの朝の感じも好きだ。
う、う、うれしいーです。
(同意はせずに頷く私は
暑い街中を意気揚揚
とまでとはいかなくとも歩き回り
冷房の効いている建物に入るその瞬間
アー コレコレ
と感じたりすることが好きだし
思っていたよりも涼しくない
と期待を外される感覚も好きだ。
クーラーを効かした室内で
羽根布団に包まり世間様を
小馬鹿にした笑いを浮かべるのも好きだし
朝目覚めて自分の部屋を一歩でた
あの煙い感じの空気も好きだ。
なによりビイルがおいしい
う、う、うれしいーです。)

鳥もうるさいし
草木も生い茂ってるし
髪が伸びるのもはやい
女は男のやさしさにつけこむし
男は易しさで女につけこむ
雨上がりに涌く虫に文句を言う。

という夏にまつわる
ア リアルテイル。

書:坂本パルコ

春秋蜜柑

発行日:2021年5月8日
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