遊星

蒼い夜があった
そこで星が生まれて死んだ
水銀灯に照らされ魂がゆれていた

気がつくと私は或る屋敷に植えられた中庭の木になっていた
いつもはテーブルの下にいるms.good yearが爪をといだり無邪気にしたりする蜜柑の木だ
最近実に宿った魂に

アア、やってくるのではなく、いつから日々は過ぎていくものになったのだろう

などとシニカルな会話をするようになった
上手くいかない人生
上手くいくはずのない人生
二人は見上げるこの空の
星座の中にはいない
やがておとずれる安らぎ
(あるいは偽りのやすらぎ)
私は言葉で指を差し出す

もっと深くて遠いところで輝いた
あの星座が見ている星さ

書:坂本パルコ

春秋蜜柑

発行日:2021年5月8日
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