please
あの晩は
そう
何処へ行くともなくただ漠然と
歩いていた
路が続くがまま
歩を進めてゆく
身を委ねる
何度も何度も現実から逃げ出しては
誰もいないのをこれ幸いと
何に隠れるでもなくただ
連れ戻しにきて呉れるのを待っている
私は白馬です。
走り疲れて立ち止まると辺りはしいんと静かで
息する音だけが聞こえる
ふと見上げる空には銀色の月ひとつ
夜だというのに月には影の気配もなく明るかった
白馬は、
月を見上げる。
書:坂本パルコ